パリコレやフランス映画に出たい!そんな夢を抱いてフランスへ渡りたいと考えているなら、まず知っておくべきことがあります。
それは、フランスには日本で言うタレント(芸能人)という職業カテゴリーがほとんど存在しないということです。
日本だとバラエティもドラマも歌もこなすマルチタレントが一般的ですが、フランスは完全な実力主義・専門職の世界です。
俳優やモデル、ダンサーといった具合に、肩書きが明確で、それぞれに高いプロ意識とスキルが求められます。
なんとなく有名になりたいではなく、私はこの分野のプロフェッショナルだという自負を持つことが、フランスで活動するための第一歩なのです。
ステップ1:避けては通れないビザの壁
夢のない話に聞こえるかもしれませんが、最も重要で、かつ高いハードルが労働許可(ビザ)です。フランスでは、働く権利がない外国人を雇うことは法律で厳しく禁じられています。
観光ビザで入国してオーディションを受け、合格してからビザを取る…というのは、よほどの世界的スターでない限りほぼ不可能です。
芸能活動を目指す日本人が取得を目指すべき主なビザは以下の通りです。
パスポート・タラン(Passeport Talent)
アーティスティック・文化的職業という枠があり、すでに日本で実績がある人向けです。
学生ビザ
演劇学校やダンス学校に通いながら、週の労働時間制限内で活動する方法。多くの人はここからスタートします。
ワーキングホリデービザ
1年間限定ですが、自由に働けるため、その間にコネクションを作る人もいます。
まずは合法的に滞在し、働ける身分を確保することが、スタートラインに立つための絶対条件ですね。
ステップ2:エージェント探しとブックの作成
日本だと事務所にスカウトされてデビューという流れがありますが、フランスでは少し違います。基本的には、自分で自分を売り込むスタイルです。
コンポジットの作成
モデルなら写真集、俳優ならデモリール(演技映像集)をまとめたブックが名刺代わりになります。プロのカメラマンに撮ってもらった質の高い写真が必須です。
キャスティングサイトへの登録
フランスにはNawakやCineaste.orgといった、オーディション情報サイトがあります。最初はここに登録し、エキストラや小さな役から実績を積むのが一般的です。
エージェントとの契約
ある程度の実績ができたら、芸能事務所(エージェント)にアプローチします。フランスのエージェントは日本の事務所のように手取り足取り育ててくれる場所ではなく、仕事の交渉代理人というドライな関係であることが多いです。
ステップ3:フランス独自の保障制度アンテルミタンを知ろう
フランスが芸術家の国と呼ばれる理由の一つに、アンテルミタン・デュ・スペクタクル(Intermittent du spectacle)という独特な失業保険制度があります。
芸能の仕事は不安定なので、一定期間の労働実績があれば、仕事がない期間も国から失業手当が支給されるというシステムです。
このシステムにより、フランスのアーティストたちは生活の心配を最小限に抑えながら、芸術活動に専念できるのです。資格を得たら、フランスでプロのアーティストとして認められた一つの証とも言えますね。
日本人であることを最大の武器にする
最後に、言葉の壁について。
俳優を目指すなら、ネイティブ並みのフランス語力か、あるいは強烈な個性が必要です。
ただ、フランスの映画や広告業界では、意外と日本人役アジア人役の需要があります。
着物が着られる、殺陣(たて)ができる、日本舞踊ができるといった日本ならではのスキルは、現地では大きな強みになります。
フランス人になろうとするのではなく、フランスにはない魅力を持った日本人として自分をブランディングすること。
それが、異国の地でチャンスを掴むための秘訣かもしれませんね。
